患者の声

※患者さまの写真につきましては、ご本人の了承を得て掲載しております。

吉田玲奈様からの声

[手術前の状態]
   私は先天性股関節脱臼で生まれ生後6ヶ月、2歳時と2回の手術を受けました。
その後は経過観察していましたが、足の痛みもなく他の人と変わりなく運動やスポーツを楽しんでいました。高校生の頃より時折り左股関節の痛みを感じることがありましたが、すぐに痛みも消えたため気にすることなく生活していました。その後年齢と共に強い痛みや左足の長さが徐々に短くなってきていることを感じ始めていました。しかし、我慢できない痛みではなく、生活に支障をきたすことはなかったため、一般的に言われているように50歳以降になったらと漠然と考えていました。

[石部先生との出会い]
 先生との出会いは私の勤務先である武蔵野陽和会病院に石部先生が講演に来られ人工股関節、MISについて話を聞いたことがきっかけでした。始めてお会いした時先生はとても穏やかな表情をされこの先生に是非診てもらいたいと思い早速、家族や、職場の上司に相談していました。
その後、武蔵野陽和会病院で石部先生が月に一度手術をするということになり理学療法士として石部先生の手術を受けた最初の患者さんからリハビリを担当させていただきました。
実際に手術を受けた患者さんのリハビリを術後1日目から退院まで担当し患者さんから色々なお話しを聞くことができました。患者さんからの話しは同じように手術を考えていた私にとって非常に貴重な経験であり、手術に対する不安は少しずつ薄れてきました。
入院時はみなさん不安な様子ですが、術後には日に日に目を輝かせ手術を受けて本当に良かったと心から話されている様子を見て、これから先いつくるか分からない痛みに対する不安、徐々に進行していくことへの恐怖を持ち続けるより今を楽しく快適に過ごせたらという思いが強くなり手術を受けようと決心しました。

[診察]
 股関節の悪化を感じながらも普通に生活し、理学療法士として働くことができていたため手術も術後1ヶ月程度で仕事復帰できるだろうと簡単に考えていました。しかし診察では臼蓋の骨の欠損が著しく骨移植をする可能性があり、その後しばらく左足に体重をかけられないかもしれないということ、幼少期の2度の手術により筋や組織が硬くなっていることが考えられるため筋を切る可能性があるということ、左下肢が右に比べてかなり短かく神経損傷などのリスクがあるため左下肢を延長して足の長さを左右同じにすることはできないかもしれないと説明を受けました。そして年齢から考え再手術の可能性があること、仕事復帰までは3ヶ月程度かかるだろうと言われ想像以上に悪くなっていたことにショックを受けた反面、今すぐにでも手術を受けたいという気持ちも強くなっていました。

[入院・手術]
手術当日は15時過ぎに手術室へ入りました。手術室での麻酔で一瞬で眠ってしまい気づいた時には自分の部屋に戻っていました。
翌朝目が覚めると左の股関節にかなり重い鉛のようなものが入っていてその部分だけ下に引っ張られ、少しでも足を動かすと左足が体から抜けてしまうような不思議な感覚でした.朝の回診では石部先生より左足を2cm伸ばしたこと,腸腰筋(股関節を曲げる筋肉)を切離したこと,骨移植を少しした事を聞きました.リハビリでは歩行器で病棟の廊下を歩きトイレの立ち座りの練習をしましたが,左足がかなり重く体重をかけると地面が上下に揺れているような,不思議な感覚があったのを今でもよく覚えています.また術前は左足がかなり短かったため2cm伸びただけでも逆に左足が右足より何cmも長く感じました。
仕事柄,頭では分かっていたことですが実際に経験してみるとこれもまた不思議な感覚でした。リハビリ以外でも廊下で1人歩行練習を行い一日一日、日を追うごとに回復している事を実感することができました。東京から家族,友人,職場の人がお見舞いに来てくれ、術後4日目より外出し札幌市内や小樽など毎日のようにタクシー観光したことも思い出であり,また回復を早めてくれた要因ではないかと思っています。

[退院後]
退院後は職場である武蔵野陽和会病院に毎日通い、3ヶ月間の休職を終え職場復帰しました。今では長距離歩いても股関節の違和感も全くなく、手術をしたことを忘れてしまうこともあるくらいです。長い間の不安、悩みもなくなりすっきりとした気持ちで毎日過ごすことができ本当に手術を受けて良かったと思っています。


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