患者の声

※患者さまの写真につきましては、ご本人の了承を得て掲載しております。

岩﨑 眞智子様からの声

手術前の状態
形成不全のため定期的に診察を受けていた次女が3歳の頃、ときどき左脚股関節に痛みを感じていた私も念のため診察を受けました。
結果は、すぐにも手術をしたほうが良いと言われましたが、4歳の長女もいますし自営業もあり、手術で3ヶ月も入院なんてとても考えられないことでした。
そのまま歳月が流れ子どもたちが成人した平成6年に思いきって骨切り術を受け、負担をかけていた右足の痛みも同時に解消して安堵していました。
ところが年齢とともにまたあの痛みが始まったのです。

石部先生のテレビ出演
ある日、友人からすぐにテレビを見るようにと電話があり、テレビをつけると石部先生の手術の様子が報じられています。
けれど北海道、神の手なんて...私には縁のない遠い世界の話だと思っていました。
その後も何度か同じようなやりとりがあったので参考までにと検索したHPで『患者の声』を知り、県内の方にメールでおたずねしましたところ、ご親切に直接会う機会を作ってくださったのです。
その方にとにかく初診の申し込みをするように勧められ、とまどいながらもクリニックに電話を入れました。
これが私の1歩で一昨年の春のことです。
また、昨年の春には大阪のホテルで開かれる患者の会のオフ会を知り、こちらは迷わず申し込みました。
その席には、すでに手術を受けられた方やこれからの方、迷っておられる方、そして私のように初診の申し込みはしたけれど...という方々がいらっしゃいました。
もちろん初対面の方ばかりなのですが同じ痛みや悩みをかかえている者同士、旧知の友のようになるのに時間はかかりませんでした。
2次会3次会と席を変えながら、昼前からとうとう夕方まで話し込んでしまって、別れる頃には『石部先生しかない!』と思うようになっていたのです。
この席で私たちのように痛いところを抱えている者にも楽しくできるスポーツ『シュノーミング(シュノーケルとスイミングの造語)』にも誘っていただきました。(これがとっても楽しいのです)

診察まで
初診の申し込みをしたとき初診日までおよそ1年、手術まではさらに1年と聞きました。
でも、我慢できないわけではなかったのでリハビリをしながら気長に待とうと思っていたのです。

待ちに待った初診日の連絡の電話です。
もう飛び上がるほど嬉しくて思わず正座しなおし緊張したのを覚えています。
そして初診日間近、この頃には坂道を転がるように痛みが増し、とうとう杖を持たざるを得なくなっていましたので申し込んでいてよかったと何度思ったか知れません。
初診日当日、にこやかに迎えてくださった先生の笑顔に気を許し今までの経緯を並べ立てたのですが最後まで穏やかな笑顔で聞いてくださいました。
予定だと手術は12月なのですが東京でよければ8月にできますとのことでしたので少しでも早くと東京でお世話になることに決めました。

入院手術
手術日が決まれば嬉しい反面不安になる方もいらっしゃるようですが、私は手術経験もあり、そのときの楽しい合宿経験もあったので待ち遠しいばかりでした。
東京武蔵野陽和会病院(残念なことに今年の2月で診療は終了されました)での貯血時に体重が40キロ未満のため2回に分けることになり2回目の貯血の日から入院させていただきました。
手術日まで術前リハビリに励み近隣の散策などで楽しい時間を過ごしました。
手術当日は、朝、石部先生の回診があり術脚のお尻に先生がマジックでサインをしてくださいました。(記念にパチリ!)
あとは気がつけば病室にもどっていました。
私の場合、この日の夜が一番辛かったです。
傷は全然痛くないのですが傷の後ろのお尻の筋肉の痛みと空腹による胃痛との戦いです。
1時間に1度自動的に血圧計が作動するのでそれをカウントダウンしてひたすら夜が明けるのを待ちました。
待ちに待った翌日のお昼ごはんはおうどんでした。
ところが、術後で血圧が低く気持ちとは裏腹にからだがフラフラで座っていられないのです。
おうどんを3本ほどすすると、もうダウン!けれどここでしっかり食べておかないと力が出ないと思い、ダウンを繰り返すこと7回でやっと完食!(根性で食べきりました)
この日は歩行器で歩く練習に加え、平行棒の中を自力で歩けてとても嬉しかったです。
1週間後には友達に会いにひとりで横浜まで出かけ周りの人達を驚かせました。
リハビリの先生方の熱心な療法と、大好きな活気溢れるリハビリ室のおかげで毎日が楽しく充実した日を過ごすことができました。
ところがある日ベッドに横になり、立てていた膝小僧を何気なく見てびっくりです。
今まで術脚のほうが短くてその分膝小僧が揃わなかったのですが、今度は反対に術脚のほうが長くなっているのです。
「エーッ!」思わず叫んでいました。
同じ日に手術を受けた方達はちゃんと揃っています。
どうして私だけ...と悩みました。
そんな私にリハビリの先生は『大丈夫!きっと揃うから!』と心強い言葉をかけてくださっていろんなメニューを試みてくださったのです。
その言葉通り、いつの間にかぴったり揃っていた膝小僧!
「見て見て~!」もう嬉しくて嬉しくて同室の方はもちろん家族や励ましてくださっていた足友さん達に揃った膝小僧の写真を送り喜びを伝えました。
石部先生はここまで計算に入れて調節してくださっていたのだと気付き、改めて先生の素晴らしさに感謝いたしました。
その上、痛みのなくなった脚と楽しい仲間たちとの生活のお蔭か、なんと体重が6キロも増えていたのです。(ちょっと焦りました)
何を食べても太らずどうしたら太れるのかと思っていましたが原因は『痛み』だったようです。(痛みには慣れていると思っていたのは勘違い?)
苦しいとき(私はあまりなかったですが)嬉しいとき(いっぱいありました)励まし合って過ごした2週間の楽しい合宿生活に名残を惜しみながら1ヵ月後の再会を約束して同士達とお別れしました。

術後
楽しみな1ヶ月検診の日です。
再会を喜び合うのもそこそこにレントゲンと筋力測定です。(正直、しんどかったです)
測定結果も基準値をクリアもしくは近値で一安心。
待望の『風のガーデン』ロケ地や富良野、美瑛の壮大な丘陵地の観光に歓声をあげ、1日5キロ以上の歩行に痛みも、翌日からの筋肉痛もなく、ただただ幸せなひとときを過ごしました。
術後3ヶ月は杖をつくようにとのことでしたが、邪魔になったり置き忘れたりするようになったので2ヶ月でお別れしました。
今では手術したことさえ忘れてしまうほど快調で、身長180センチの主人が遅れるほどの早足で毎日2キロから4キロ歩いています。
そんな私に『ほんまに痛いないんか?よかったな~』と主人は満面の笑みで言ってくれるのです。
また、杖をついていた頃の私を知っている方は驚きを隠せないようすで『すごいね~よかったね~』と言ってくださいます。
その声を聞くたび、ますます幸せな気持ちが膨らんで飛びっきりの笑顔になれるのです。
「歩こう会だって海外だって条件なしにどこへでも行ける」と思うだけで大袈裟なようですが人生がバラ色に思えます。
普通に歩けることに幸せを感じられるのも、すてきな足友さんに巡り会えたのもシュノーミングに出会えたのもこの股関節のお蔭と、今では感謝しています。
そして何より石部先生の確かな手術のお蔭です。
その先生からのお勧めもあり、つたない文章ですが私の体験を書いてみました。
痛みに耐えながら悩んだり迷ったり落ち込んだりしている方に勇気を出して1歩を踏み出してもらえたら、そして先輩足友さん達からいただいた多くのご恩に感謝を込めて私の小さな『恩送り』ができるならこんなに嬉しいことはありません。

最後になりましたが、お世話になりました武蔵野陽和会病院の金井先生、石井さん、リハビリの先生方、優しい看護師さん達、親切な介助の方々にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
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