患者の声

※患者さまの写真につきましては、ご本人の了承を得て掲載しております。

山下順子様からの声

26歳で人工関節置換術 出産を経て現在13年目です

1997年2月に26歳で左股関節を人工関節置換術していただきました。
私は、よくお聞きする先天的の股関節が悪い方と違い、10歳ころ発病した若年性関節リウマチ(年をとり慢性リウマチです)にて、体中の関節が変形していく中の一つでした。
リウマチになり一番初めに痛みだしたのが左股関節でした。その後、全身に痛みと変形をともないながら肘や手首、両膝、足の指と次々に骨がくっついたり固まったりとする中で、股関節は何とか時折の痛みがあるぐらいで、進学・就職・結婚と人並みと言える生活を送っていました。

それが1996年25歳の夏ころ突然激しい痛みが左股関節を襲い次第にひどくなり、足を引きずりながら歩いていましたが、わずか二か月後には数歩動くだけで痛みとしびれで汗がにじむほどになってしまいました。
そうなると夜も痛みのため眠ることもできず、リウマチで受診していた整形病院の先生に鎮痛やボルタレン座薬を頂いていたものの、きめられた時間での使用ではすでに痛みは消えないほどになっていました。
整形の先生から現段階ではすでに人工関節にするか、またはこのまま痛みを我慢し数年で固まり痛みがなくなるのを待つかという診断に「この若さで、ついに動けなくなってしまうのか・・・」と、やや絶望的な気持ちになっていたところ「股関節治療の良い先生方がいる病院を紹介するので受診してみては?」と言われ、伺ったNTT病院に石部先生がいらっしゃいました。
診察を受けたところ、軟骨がすり減ってしまっているのでやはり人工関節を入れるしか痛みは取れないとの診断でした。
「眠れないほどの痛みさえ無くなれば・・」と決意し決めた手術でしたが、初めての手術への恐怖、痛い手術をして人工関節を入れても普通に痛みなく歩けるのかの不安、そして結婚はしていたものの足に大きな傷ができる悲しみなど、数々の不安が襲いました。
手術が近くなり術前の説明を聞いているうちに、いろんな思いがこみ上げ泣けてきましたが、その一つ一つに石部先生は実際に使われている人工股関節を使いながら説明してくださり、まれにゆるみ・脱臼したりすることがあること、まだ若いので一度は取り換えなくてはならないだろう等のリスクを含め、丁寧に、そして、にこやかに「これから先の長い人生を痛みと過ごすのではなく、より質の良いものに」という内容のことを、不安を取り除くようにお話しくださり安心したのを覚えています。
当時はまだ17センチ近くの傷ができ、入院生活も通常三カ月くらいでしたが、術後の足の長さも左右そろえて頂き、なによりもあんなに苦しめられていた痛みがウソのようになくなり、リハビリがはじまり足を地面につけた時の痛みのない感覚は不思議なものでした。 
若さゆえの回復の早さか、二か月半で退院が決まったときには杖もほぼ必要なく(使った方が良いと言われたのですが・・) スタスタ歩け、痛みで苦しんでいた姿を知っている家族はとても喜び、復帰した職場では入院前は数歩進んでは壁にもたれて休んでいたので普通に歩く姿にもとても驚かれました。

その後、考えてもいなっかた子供を授かりました。
日々の生活でも重量制限のきめがある中での妊娠、出来る限り体重の増加に気をつけ、出産時には何とか6キロ増加でおさえ、婦人科医師の配慮で人工股関節への負担を考え帝王切開にしてくださり何の問題もなく出産することができました。
子育てでは、やはり抱っこでの負担があったのですが、極力抱いて歩かないようベビーカーを使うなど配慮しながらの日々で、脱臼・骨のゆるみ等無く無事過ごせ、生まれた息子も9歳になります。
その間、短い間でしたが体の自由の利かなくなった母の介護も手伝うことができ、最後にささやかな親孝行ができたのではないかと思っています。

現在は、持病のリウマチの進行で術足の膝が変形してしまい、術後当時のようにスマートには歩けないのが残念ですが、こちらも近々人工関節を考えています。
また13年もの年月がたつと当初言われていた通り、メンテナンスも必要な時期になるようで「何か痛みが生じたり変化があったらすぐ連絡を」と先日の検診でいつも以上に念を押して言われました。(先生は毎回当たりまえのように言ってくださいますが、こうやって何かあった時には診てもらえるという安心感も、術後の生活によく作用しているとあらためて思います。)

ここに至るまでの13年間を、人工関節置換を決断せず、術前のあの痛みのまま、もしくは変形し固まりうまく歩けないまま過ごしていたかもしれないと思うと、今の充実した生活は考えられないものになっていたでしょう。
今はなおさら、石部先生ならではのMISでの手術で2週間の短い入院生活、必要最低限の切開、傷跡とお聞きするとうらやましいかぎりです。

もし痛みに耐えながら悩んでいる方がいるのなら、起こりうるリスクを考えてでも、思い切って決断してみては?と、若輩ながら背中を押して差し上げたく、つたないながら体験記を書かせていただきました。
少なくても私は思い切って決断したことで「より質の良い人生」を送らせてもらっています。

最後に、入院がおっくうで・・と、思う方もいらっしゃるかもしれませんが、入院生活も悪いことばっかりではなく、同じ痛みを知る者同士、私は今も続くとてもよい足友もできました。

(編者註:山下様にメールでお問い合わせの方々へ。お忙しい日々をお過ごしですのでご回答には時間がかかりますことをご了承ください。)

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