患者様の声

K.gotou様からの声

2020年手術

K.gotou
左変形性股関節症(末期)
東京都板橋区在住 ㊛58歳

手術からあっという間に4か月が過ぎました。

石部先生から、術後3ヶ月までは外出時は杖を使うように、と診断されていましたので、ちょうど杖なし自力歩行から1ヶ月が経ったところです。

嬉しいことに股関節の痛みからはすっかり解放され、手術前までは毎日シップし、痛み止めを毎晩飲み、週1回は整体に通っていた日々が信じられない気分です。

「のど元過ぎれば・・・」という言葉がありますが、「手術過ぎれば痛み忘れる」といった心境です。
石部先生に手術していただいたことを心から感謝しています。本当にありがとうございました。

また、入院中には、同じような時期、同じような手術を受けた方たちと知り合うことができ、沢山の貴重な情報をいただきました。この交流はこれからも続けていきたいと思います。

さらに今回、そのようなおひとり「股間節子」さんからの提案で、レポートを作成してみて、このような振り返りをすることができました。あらためて感謝です。

今現在、股関節の痛みに苦しんでいたり、手術に不安を抱いている方に、私の体験が少しでも参考になれば嬉しいです。

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レポート

◆予約 (4月中旬)から初診 (7/19)まで(手術の決断)

紹介者はなし。知人から北海道に高名なドクターがいると聞き、インターネットで調べ予約、受診。石部先生から丁寧な説明を受けたあと、「どうしますか?」と問われ、迷わず手術を決断。信頼できるドクターの下で、安心して手術に臨みたい、という思いが強かったので、東京⇔札幌の距離を障害とは感じなかった。

待合室では、すでに手術を受けた方たちがグループで元気に談笑されていて(今思えば術後1ヶ月後検診の方たちだったかと)、お住まいが名古屋や九州、両足の手術、傷の具合、日常生活のことなど、聞くともなしに聞こえてきた。杖での歩行の様子なども。それらも手術の安心感につながった。

石部先生の「人工関節パンフレット」を頂く。

<持参した物>
保険証、かかりつけ医のレントゲン等データ
<費用>
往復飛行機代+ホテル(一泊) 35,000円程度
その他交通費(含むタクシー代) 5,000円程度
病院代 5,000円程度

◆手術日、外来日、入退院の日程が決まるまで

石部クリニックから、 10月中旬に電話で手術日 (1/15)の連絡を頂く。手術まで 2ヶ月あったので仕事の調整は十分可能。
後日、外来日・貯血(12/16)、入院日(1/9)、退院日(1/23)等について、詳細な書類が郵送されてきた。

◆外来日・貯血 (12/16)

・手術の説明を一人で聞くことや、貯血で具合が悪くなったりすることが心配で、夫も同行。入院説明で個室希望を伝えた。

<検査>
採血、検尿、心電図、肺活量、股関節CT、股関節・胸部・腰椎レントゲン
<診察>
手術説明、術後注意として、しばらくは満員電車は避ける、筋肉痛になるほど歩かない等。
退院後検診は 2月 28日 10時。
<自己血貯血>
400cc、 40分ぐらい
<薬>
鉄剤処方
<持参した物>
保険証、人間ドックデータコピー、お薬手帳、病院代2万円程度

◆入院までの準備

・「高額医療費限度額適用認定書」の手続き
・保険会社への連絡
・荷造り(内服中の薬、下着、タオル、洗濯用洗剤、スリッパ、リュックサック、柄の長いボディブラシ)し、「入院日当日午前配達指定」で発送。※事前に渡された「入院時持ち物チェックリスト」で確認。病院の売店で購入できるものは現地で。
退院してから使う、脚に挟む「枕」の作成(プリントに従い)

◆入院(1/9)

既往症(糖尿病、高血圧)があったので、手術日(1/15)より6日前に入院。
検査内容は、血液検査・血糖食前食後採血・心エコー・24時間心電図.尿検査。

<入院初日>
入院手続後、病室で「人工股関節置換手術 入院治療計画」、「人工股関節手術を受けられた方へ~日常生活上の留意点について~」について看護師から説明。改めて気づかされたことは、
・術後1ヶ月はシャワー浴となるので、手術日前日はゆっくり「入浴」
・術後は、お手洗いまで我慢できないことがある(歩行に時間がかかる)ので、尿取りパットも準備、← 病室からトイレが近く使わずじまい。
・パジャマやタオル、歯ブラシ、コップなど入院に必要な一式をレンタル(一日550円税 別)

※売店での購入物
T字杖(5000円弱)、運動靴(5000円程度)、マジックハンド(1500円)
柄の長い靴ベラ(250円)、着圧ハイソックス(2800円)、T字帯(380円)
ペットボトル水

<手術前日> 
麻酔について、麻酔科医から説明。「手術時の麻酔」(6ページ)
「麻酔説明同意書」にサイン。
資料の文字が細かいので、シニア眼鏡を持参したほうが良い。それでなくとも緊張で話が頭に入ってこない。「大丈夫ですから安心して」と、やさしく言われても、麻酔の危険性、合併症など、想像しただけで気持ち悪い、怖い。手術を決意して以降、麻酔の説明が一番ストレスを感じた。今資料を読み返しても恐怖が蘇る。
夫と妹(千葉)が、明日の手術の立合いのために札幌に。
<手術当日> 
手術の順番は 4番目 15時頃の予定。その日最後。 4例目。
朝の回診で、石部先生がマジックで手術する脚の方にサイン、記念にスマホに保存。
弾性ストッキングを履く。

予定より早く 14時過ぎには案内。手術室まで歩いて向かう。入口までは家族も一緒に。
エレベータ前で、ちょうど手術が終わったばかりの方とすれ違い、手術直後の様子がわかって少し安心。

手術室に入って、手術台に上ってからは、看護師さんたちの驚くほどの手際の良さであっという間に麻酔。麻酔の恐怖で、無意識に近くに立つ看護師さんの白衣を握りしめていたことだけ記憶。
<手術後>  
気付いたら、酸素マスクで病室に。家族の話では 16時前には戻ってきたとのこと。看護師さんによると手術時間は 43分。さすが!
意識がはっきりしてからは、仰向けが辛く、看護師さんに横向きにしてもらい、やっと楽に。足裏マッサージ器が気持ちいい。

家族が手術後の説明を受ける。意識がはっきりしてから家族に、レントゲン画像コピーを見せてもらった。

貯血してもらっていた自己血を戻す。「冷やしてあるので冷たく感じるかも」と言われていたが、まったく感じず。

夜中は看護師さんを呼ぶのが躊躇われ、自力で仰向けと横向きを繰り返す。今思うと、遠慮しないで看護師さんを呼んでも良かったのだと改めて思う。朝方まで眠れず。
<手術翌日> 
足の重だるさはあるものの、痛み止めのせいか、痛みはほとんど感じられず。じっと寝ている姿勢が辛い。足の間に挟む枕について、大きさといい重さといい、もっと使いやすいものにしてほしい。氷枕は気持ちよかった。麻酔の先生回診、背中のチューブを外してもらう。
食事は朝から。
午後、尿管を取ってもらい歩行器でトイレヘ。
弾性ストッキング(ひざ丈)は常に着用。
<リハビリ> 
手術翌日から退院まで、毎日午前午後2回のリハビリ。
2日目は歩行器で院内の廊下を歩く練習。3日目頃から二本杖でリハビリ室へ。杖の使い方、筋トレ・ストレッチの指導、枕を使って身体を起こす、俯せになる、両手をバーに預けて歩く(初めはヨタヨタ、恐る恐る)、マジックハンドを使ってズボンを履く、椅子を使って立ち上がる・座る、靴下を履く、階段を昇る・降りる、物を拾う、浴槽への入り方、車の乗り降り、昨日できなかったことが今日はできることの不思議を実感。
リハビリの先生から、少しの進歩にも関わらず毎回褒められ、すっかりその気に。辛いと感じたことはなかった。
<病院の環境>
入院した札幌記念外科病院は、昭和の香りぷんぷん。大通公園に面したスタイリッシュな石部クリニックとは正直雲泥の差。こうして手術も成功し、痛みから解放されたとはいえ、贅沢を言わせてもらうと、もう少し近代化された環境で療養したかった。人生初めての入院生活だったので。東京に帰ってから、「神の手」にかかり、優雅に北国の雪景色を眺めながらリハビリした、と皆に自慢したかったので残念。

入院前に個室を予約。個室はゆっくりするが孤独。情報収集のため談話室に頻繁に通う。そこで知り合った方々の話は、参考になっただけでなくかなり勇気づけられた。手術前のいろいろな心配事を相談。経験から語られる言葉は重い。同病相哀れむ、を体現。年齢差は関係ない連帯感。
<退院2日前>
血液検査、股関節レントゲン、股関節CT、下肢静脈エコー
<退院時 (1/23)の注意>
・弾性ストッキング(ひざ丈)は、術後外来受診時までは着用継続。
・脚に挟む枕 術後3か月は使用を続ける。
・手術創部術後2週間目に自分で創部フィルムを剥がす。傷に直接貼ってあるテープは自然に取れるまでそのまま。
・職場復帰
退院する際石部先生から、仕事復帰の条件として、人混みを避ける、満員電車には乗らない、エスカレーターは乗らない、弾性ストッキングを着用するよう指導。
・術後外来2月28日10時

◆退院(家族が付添)

<自宅に戻るまで>
・病院からJR札幌駅までタクシー使用。
・タクシーの降車地点からホームまで2本杖歩行。人の往来、段差、凍った道。移動は想像以上に大変。身障者であることを実感。
・札幌から千歳空港までは電車利用。
・駅改札を出たところで係の方が声をかけてくれた。車椅子に乗せてもらいJALカウンターまで案内される。JALの車椅子に乗換え空港内で昼食、搭乗まで車椅子。
・羽田空港内は車椅子を借り駐車場まで車椅子。
・空港内はとにかく広い。無理せず、椅子を借りて移動するべき。

◆退院後

<購入したもの>
・浴用椅子、弾性ストッキング(お腹までのもの)、外出用シューズ、
「補高便座やわらか」→職場のトイレの便座の高さが低かったので高さを補高した。

<1週目>
・木曜退院、金土日と3日間ゆっくり過ごし、週明けから職場復帰。
・2本杖で恐る恐る歩行。浮腫は気にならない。
・退院する際石部先生から、仕事復帰の条件として、人混みを避ける、満員電車には乗らない、弾性ストッキングを着用するよう指導。
・弾性ストッキングは伸びないため家族に手伝ってもらわないと一人では履けない。初日は10分弱かかって腰まで持ち上げた。
・夫の運転する車で通勤、ほとんど歩く距離なし。事務なので、動き回る仕事はなし。自宅までは膝までの弾性ストッキング(浮腫の心配から1ヶ月は履き続けなかればならない)
・歩く距離が増えるせいか痛みが。傷の痛みなのか、筋肉痛なのかわからず不安。退院時処方された痛み止めはすべて呑み切る。
・手術した方の足を下にして横になることは無理。うっかり間違えて手術した方の足を下にして横になってしまい悲鳴。
・シャワー浴の際は椅子がなければだめ。立ったままの姿勢でのシャンプーは無理。
・保険の手続き

<2週目>
・入院中リハビリの先生から紹介、注文していた靴の中敷きが届く。
・石部クリニックから電話、術後の様子、創部フィルムを剥がすよう指示される。痛み止めについて質問。手術前に地元の病院の残りを呑んで大丈夫とのこと。
・恐る恐る創部フィルムを剥がす。痛くない。傷の上に張られているテープ(10片くらい)はしっかり張り付いたまま。シャワーで濡れても全く沁みない。
・手術した方の足を下にして横になってみる。

<3週目>
・退院以降仕事と家庭の両立で、筋トレが後回しに。
・自宅(マンション)では1本杖、近いところは壁伝いに杖なしで移動。外出時は2本杖。

<4週目>
・室内は杖なし、外出時は1本杖。
・ワゴンタイプの車の助手席への乗り降りには踏み台を使っていたが、この頃から自力で乗り降りできるように。
・傷の上に張られていたテープはすっかり剥がれ落ちた。

◆手術後1ヶ月検診

<準備>
・ホテルに宿泊する場合、足に挟む枕の代用品として、ホテルのバスタオルを丸めて使用。ビニール紐を持参。
・杖は検診に備え、念のため2本杖で移動(この頃は1本杖歩行が日常)。
・リュックサック、運動靴、
・空港内、駅構内のエレベータの位置の確認(実際、エスカレーターの速さに、恐怖で一歩目が踏み出せず、階段を使用。)

<検査・診察>
・血液検査、股関節レントゲン、股関節CT、筋力測定
・次の診察は3年後2023年と。3週間痛みが続くような場合はいつでも連絡する。
→何もなくても、半年後とか1年後とかにも診ていただきたいという気持ちが・・・・。
・筋トレは1年間は続けること。
・筋肉痛になるほどは歩かない。
・お風呂〇、温泉〇、自転車〇、電車通勤〇、靴の中敷きは取っても良い。
・弾性ストッキングの使用は止めても良い。
・手術をしたほうの足に力を入れるのは△。
・杖と足に挟む枕は、大丈夫と思っても3ヶ月間は継続させること。
・職場に出す診断書をもらう。

◆手術後2ヶ月

・1ヶ月診察で、手術前より筋力が落ちていることが判ったので、翌日から毎日3セット錘(1 kg~2 kg)をつけて筋トレ。
・ふわふわした感じは続く。
・立ち上がり、第1歩の踏み出しは相変わらず怖い。
・杖なしで、ゆっくりでも、びっこを引かない歩行を意識。
・朝の弾性ストッキングは一人で履けるように。

◆手術後3ヶ月

・歩くスピードも速くなった感じが。ひざの痛みもなくなる。
・コロナもあり、電車に乗らず、5月いっぱいは車通勤継続。
・トイレの立ち上がりなど、つかまり立ちせず立てるように。
・階段は1段ずつ昇る。手すりを使わず手ばなしで交互に昇ることはまだ△。
・日によって、足の違和感がある。
・石部クリニックから退院3ヶ月の確認電話が。本人は留守、家族が代りに様子を伝えてくれた。
・まだ普通の靴は履かず、外出時は運動靴のまま。
・浮腫予防のため、弾性ストッキングは現在も継続。

◆最後に

石部先生と出会い、手術を決心して本当に良かったです。
また、入院で知り合った方たちと退院後もいろいろ情報交換をしてきましたが、本当に力になりました。ついつい怠けがちな筋トレも何とか続けられました。
回復度は人によって様々。ときどき刺激を受けながら、これからも自分のペースで治していきたいと思います。

おわり
2020(令和2)年5月31日

赤いヘルプマークのストラップ
通勤リュックにつけて
威力があり ありがたかった

入院中に思ったこと

・自動販売機そばには、杖をかけるフック、もしくは傘立てのようなものが設置されていると便利。立てかけた杖が倒れてしまい不便だった。

・病室のドアは24時間、深夜も開けておくようになっている。個室に入院中、隣の個室には男性患者が入っていて、病人同志とはいえ配慮に欠けると思う。

・脚の間に挟む枕について、大きさといい重さといい、もっと使いやすいものにしてほしい。

・手術後、ベッドの角度を変えてほしかった。これに限らず、こちらから頼まないとやってくれないことが結構あった。初めて入院し勝手がわからなかったので、こうすると楽になる、ということを教えてほしかった。手術前は感じなかったが、術後、身体が思うように動かないとき、たまに親切な声がけをしてもらうと暖かな気持ちになった。

・採血の下手な看護師さんが多くほとほと参った。

・退院後の生活について、「これはダメ」ということでなく、「これは揃えておくと便利」ということも教えてほしかった。退院が近づくにつれて、帰ってからの不安が募った。

要らなかったもの

・看護師さんに勧められた尿漏れパット。
・トランクスはわざわざ買いそろえるほどでない。
・車の乗降用の踏み台(退院後数週間で自力で乗れるようになる)

必要だったもの

・弾性ストッキングは退院してからも必要になるので1足では足りない。洗濯替えとして必要。
・仕事に着用するお腹までの弾性ストッキング。
・浴室用の椅子。立ったままでシャンプーはしばらくできない。

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