患者の声

※患者さまの写真につきましては、ご本人の了承を得て掲載しております。

宮奥静枝様からの声

私の今までの人生の大半は『痛みのある日』でした。

先天性股関節脱臼で2歳半の時に両足の骨切り手術を受けました。
その当時、手術をしても歩ける確率は50%といわれていましたが、成功し、ギブスをつけた長く辛い入院生活を経て無事歩ける様になりました。
活発な子どもでしたので、高いところから飛び降りたり、縄跳びをしたり、走りまわったり・・・母の心配をよそに、自分が大変な手術をしたことを忘れ、プールの時 友だちに両大腿部にある大きな傷跡のことを聞かれると手術したことを思い出すような、痛みのない日々を送っていました。

初めて股関節脱臼のことを意識させられたのは小学5年生の時、学校の登山に参加できないと知った時でした。それからはずっと「みんなと同じことが出来ない辛さ」を経験してきました。中学生の時は、成長痛、高校生の時は使い痛みで夜も眠れず、股関節をさすりながら泣いていた日々を思い出すと今でも辛くなります。
年頃になり、かかとの高い靴を履いたりもしましたが、歩くことが困難になるので次第に履かなくなっていました・・・それでも『自分の足はこういうもの』と思って、足に負担をかけないようにしながら付き合ってきました。

96年に結婚をし、02年第2子を出産以降、常に痛みがあるようになりました。肩を大きく揺すって歩いていた様で、周りの人から「足、ケガしてるの?」と聞かれることが多くなり状態が悪くなっている事に気づきました。「痛い・・・」が口癖になっていて、子ども達が「お母さん大丈夫?」と不安そうな顔で私の足をさすってくれるのです。「これではいけない」と近くの病院で診察を受けました。「かなり悪いので置換手術しかない。」とのこと。手術内容をきくと3ヶ月は入院・・・子育て真最中の私には「自分の事に使う時間はない」と短くなっている足の長さを調節する足底板を入れただけの応急処置ですませました。

ところが、その後1年ほど経った頃、また足が短くなっているように感じ、歩き方もひどくなっているので「このままでは歩けなくなるかもしれない」と思う様になり、主人に今の脚の状態を話しました。
その数日後、偶然にもテレビで石部先生の番組を観て「この先生なら治してくれる」と前向きに考えようとしていたところ、息子と主人が習っている、少林寺拳法の会報誌に石部先生の記事が掲載されていました。勝手にも運命的な出会いだと感じ、早速連絡させていただきました。

初診日。石部先生は温かな笑顔で迎えてくださいました。今の足の状態や、この年齢で手術を受ける際のリスクなどを丁寧に説明をしていただき、全てを理解した上で、私は「今を子ども達と楽しく過ごしたい!」と思う気持ちが強かったのと、先生への信頼感からすぐに手術を決めました。「お願いします」と先生に握手をしていただいた時の安堵感といったらもう・・・

手術日が決まり、入院してからも不安は全くなく、「痛みの無い日」を思い浮かべワクワクしていました。
ただひとつ心配で涙が出てしまったのは、入院中10日程離れてしまう子ども達の事を思った時でした。

2008.3.28 手術当日。先生の診察後、時間通りストレッチャーに横になったまま病室を出ました。先輩方に見送られ、手術室前で家族に「頑張るよ!寝てるだけだけど(笑)」と、いつものように明るく手を振りました。入室。麻酔科の先生に処置してもらっているとZ Z z z z・・・気づくと病室のベッドの上でした。

今回は、痛みの強い左足の手術をしていただきました。術後の腫れや痛みも人並みで、リハビリも頑張り(つもり?)順調に回復しました。
元々血圧が低かった私は、鎮痛剤が合わなかったり、貧血がひどく、血栓防止の注射が中止になったりしましたが、その都度、石部先生が丁寧に説明をしてくださいました。

また同じ病室の先輩方に励ましてもらったり、楽しくおしゃべりをしたり(賑やかすぎたかも)・・・で、過ぎてしまえばあっという間の入院生活でした。

手術後2ヶ月が経ち、痛みがないので又も手術したことを忘れつつあります。
外出先で窓ガラスに映る自分の姿を見て自然と笑みがこぼれてしまう今日この頃です。心配してくれていた家族や、子どもの頃に骨切り術を受けさせてくれた母が「姿勢がよくなったね。背が高くなったみたい」と、うれし泣きをしてくれています。
石部先生を始め、麻酔科の先生、看護師さん、リハビリの先生、スタッフの皆さん、家族そして病室の先輩たち・・・とてもたくさんの方々に助けていただいたお陰で、『痛み』から解放され、普通に歩ける喜びを噛みしめています。
これからの人生は『痛みのない日』になりました。ただし、石部先生のお言いつけ通り、今回完全となった左足を使い、支障のある右足をかばいながらの生活です。筋トレに励み新しい私の『足』と共に大切に付き合っていきたいと思っています。

おわりに・・・
股関節症の患者が、辛い痛みから解放される場所。帰って行く時は、笑顔で「また、逢えるといいね」と声を掛け合い、それぞれの生活に戻って行く。 私の人生において、貴重な出会い(退院後も手術日の近かった方々とメールにて近況報告しています)・・・
そして新しい『足』をくれた、石部先生と、スタッフの方々に感謝しています
本当に、本当にありがとうございました。

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