患者の声

※患者さまの写真につきましては、ご本人の了承を得て掲載しております。

菅野洋子様からの声

カナダのバンクーバー市に隣接しているバーナービー市に住んでいます私は、今年2008年4月1日にバンクーバー空港を飛び発ち石部先生の手術を受けるべく主人と共に日本へ向いました。成田空港でTBSテレビの方がカメラを持って待機していらっしゃり、千歳行きの飛行機に乗り継ぐ間の時間に取材を受けました。
バンクーバー出発前に、TBSから既に連絡があったのですが、質問の第一声は、「どうして日本で手術を受けようと思われましたか?」と聞かれ、わたしは「どうしても石部ドクターの手術が受けたくて日本へやって来ました」と答えていました。「どうして石部先生に?」との質問に、「勿論、高名なる名医であると云うことは、インターネットの数々の紹介によって知ることが出来ました。その先生が手術をされる前に患者一人一人に対する手術前の精神集中をされる祈りにも似た姿にとても感銘を受けました」とわたしの気持ちを伝えました。石部先生の、TBS"夢の扉"の取材でした。
ここバンクーバー市の専門医からも手術を勧められていましたがなかなか決心が付きませんでした。特に右足を地に着けると痛みが走るので右足を浮かすようにして歩き、最低限度の家庭内の仕事しか出来ず、冠婚葬祭にも義理を欠く日々でした。
そんな時、友人が持ってきてくれた日本の週刊誌の中の医療記事が目に止りました。股関節置換手術に関する記事で手術法が進んでいると云う記事でした。
さっそくインターネットにより、探索しました。それにより日本で最も新しい「ナビゲーション」「MIS」による股関節の手術が行われているということが分かりました。色々の病院、ドクターが情報を公開してくれている中で石部ドクターの存在を知ることが出来ました。

カナダの病院でも、心臓の手術等は新しい手術法(ロボット ナビゲーション システム)が始まっており、友人がその方法で心臓の手術をしたと云っておりましたので、カナダで股関節の手術も、このナビゲーション MISの手術を取り入れているのだろうか? と調べましたが見つかりません。でも確かめなくてはとホームドクターへ行き、石部ドクターのホームページから英語版のナビゲーションシステムの写真入り説明をコピーし、ホームドクターに持って行きましたところ、まだ其の方法で股関節置換手術はカナダの病院では行われていないと云うことでした。
わたしの希望としては、日本で手術を受けたいと思いますとホームドクターに相談しましたところ、日本へ行って手術を受けて来なさいと云って貰えました。
幸いな事に石部先生と連絡を取る事が出来、外国からの患者でも受け入れていただけますか?とお伺いしましたところ、受け入れは可能ですが、北米は人工股関節の症例数も多く、地元医師の診察は受けましたか?とのことでしたので、カナダでの専門医からの私の症状(英文)をお知らせしましたところ、進行期の股関節症ですとのことで、外来診療予約を取ってくださいと云っていただき、去年2007年9月に始めての外来受診の為、札幌を訪れました。先生にお目にかかり、どんなに遠くても石部ドクターにどうしても手術をしていただきたいと決心していました。

2008年4月25日の手術を受けに来られますかとの先生からの連絡をいただき、取るものも取り合えず4月1日にカナダを発ちました。札幌では3ヶ月滞在の予定で、インターネットで札幌のマンスリーマンションを探し借りて住むべく予約しました。
手術前の検診で先生は、3ヶ月滞在の間に両方の股関節を手術しましょうと云ってくださいました。今年中に両方の股関節が蘇るのだと願ってもないお言葉でした。でも74歳のわたしの体力が持つだろうかと、即答が出来ずにいました。
考えた末、滞在をもう2ヶ月延し、日本に5ヶ月間滞在すればもう少し余裕を持って手術をしていただけるのではないだろうかと、先生にお願いしてみました。もし無理とあれば来年再びもう一方の手術をと覚悟していました。石部先生は、とにかく右の足の手術後の結果を見てからの事にしましょうとの慎重なるお言葉でした。
痛みがひどい右側の手術が済み3日目に先生の回診時、「6月30日に手術が出来ます。ご主人とご相談してください」と云ってくださいました。きっと、手術後のわたしの状態に問題はないとご判断されてのことと思います。勿論、翌日の朝の回診で先生にもう一方の手術をお願いし、決定しました。本当にラッキーな私達と主人と喜び合いました。

以下は日記ではありませんが、かいつまんだ覚え書の中から。

4月8日: 石部基実ドクターのクリニックにて手術前の尿検査、心電図、血圧、肺機能のテスト、レントゲン、CT検査が終わり、石部ドクターとの面会後、小笠原クリニック札幌病院にて貯血のための採血。帰宅後は、眠気、ちょっとお腹の気持ち悪い。

4月9日: 貧血気味なのか、カナダと日本の時差ぼけか、だるい。
しっかり食べて、元気を取り戻さなければ。

4月11日: 気分が良くなったので、主人と外へ散歩にでる。足が痛いので早く部屋へ帰る。

4月14日: 持ってきた荷物の中から、入院に必要なるものを揃えはじめる。

4月18日: 入院(手術日の1週間前)
カナダからの診断書は必要なしで、改めて小笠原クリニック札幌病院で精密検査をしていただけるとの事で循環器、消化器の専門の先生を紹介していただき、入院。 

4月21日: その結果、心臓の機能は良し。首の動脈、足の動脈の血管は歳相応し硬くなっているとのこと。どちらも血流は良しとの事。
これで手術が出来るのでしょうかと専門医のドクターにお聞きすると、よほどの事でないかぎり大丈夫との事で、及第点をもらって胸を撫で下ろす。

4月23日: 明後日の「手術の時間は9時」と分かる。

4月24日: 手術に備え浣腸。

4月25日: 手術日 ―右股関節手術―
9時からの手術に備え点滴が8時前から始まる。
手術室に入り脊髄からの麻酔が始まり、いつの間にか眠ってしまった。
「菅野さーん」と云う声で気が付いた。
病室へ運ばれ間もなく先生が来られ、人工股関節の入ったレントゲ ン写真を持って見えられ、右足、上げてみてくださいと云われ、上げてみると、すっと上った。人工股関節を入れて、こんなにすぐに足を上げることが出来るんだーと感無量。
その夜、夜中過ぎに目が覚めると、手術をしていない左足の自由が効かなくなって来たので心配で眠れない。左足を持ち上げようとするが上がらない。
喉がからからなので、お水を1口飲むとすぐに戻してしまった。

4月26日: 翌朝、ドクターにその旨を話すと、脊髄の腰からまだ入っている麻酔の管を抜きましょうと、管を抜いていただく。
部屋へ理学療法士の先生が来られ、起き上がり歩行器にすがり、 お便所に行く練習を教わる。歩行器にすがり歩きだすと、 思ったよりは旨く歩くことが出来た。以後一人で用心深く、 トイレに行くことも出来た。

4月27日: 食欲はあまり無いが、食べなくてはと思う。
今日は、階下のリハビリの室でリハビリのため、理学療法士の先生が迎えに来られた。歩行器を使って階下まで降りた。少しずつほぐすように指導してくださり、筋力訓練が始まった。

4月28日: 今日はちょっと頼りないが、杖1本で歩くことが出来る。

4月29日: 入院前に撮ったCTで臀部に鍼灸の鍼が入っている(残っている)
ことを石部ドクターから知らされた。カナダで鍼灸をしたことがありますかと石部ドクターが聞かれました。はい、4年前に鍼の治療を受けたこと。その時に忘れられたのだろう。
カナダへ帰り、其の事を先ずホームドクターに伝えるように、部ドクターから進言していただく。

4月30日: 少し疲れた感じはあるが、普通に戻りつつある。

5月1日: 手術後1週間ぐらいで、体力は日々付いて来た感じ。痛みは無いが足の腫れがあり、少し重く感じられる。

5月2日: 股関節レントゲン、股関節CT、エコー。血液検査(結果、貧血がみられるとの事。

5月3日: 連休の始まり。でもリハビリをしていただく。

5月7日: 退院。病院の前から札幌北区に借りているマンションまで、タクシーで帰るが、心配したほどでは無く、疲れなし、痛みなし。
右側の手術も無事終わり、借りているマンションへ帰り、万々歳。
約2ヵ月後の次の左側股関節の手術まで、手術をした右側の脚が今度は、どれだけ左足を支えることが出来るのか。50歳台の方たちは両脚を一度に手術を受けているが、74歳のわたしの手術は一度に両足はしないとの事で、間隔を置いての手術をしてくださるとのこと。それ迄の間に時々、病院へリハビリに行き、状態を見てもう。日に日に筋力も付き、順調との事。

6月6日: 退院後1ヶ月目の検診。 同日に次の6月30日の手術のための検診、貯血。 

6月27日: 入院(左側の手術のため)血液検査、麻酔科の先生の検診。リハビリ。

6月30日: 手術 午後1時丁度に手術室へ、中へ入ると麻酔医の先生がやさしいお顔で、麻酔をしますので、体を横にして海老のように曲げてくださいとおっしゃる。腰のあたりの脊髄から麻酔が入る。
ちくちくとした感じだがあまり痛くない。
ピーピという音が聞こえる。わたしの鼓動の音かなー? 随分早く打っている心臓だなーパニック状態、なんて勝手な想像をする。
マスクをかけられ、眠くなりますよとの麻酔医の先生のお声で、 三度吸うと眠ってしまった。
それからすぐに手術は始まったのだろう。
「菅野さーん」とよばれて目が覚めた。
部屋へ戻ると、とても寒い。電気毛布と、お布団を掛けて貰っているのに震えていたが、しばらくすると暖かくなってきた。
ドクターが前と同じように直ぐに部屋に来られ、レントゲン 写真を見せて下さった。両方に立派な人工股関節が入っている。
きれいで芸術的ともいえる写真だなーと感心して見ていた。

7月1日: 手術をした夜、前回とおなじく、お水を飲んでも直ぐに戻してしまう。喉が渇いているが、口に含んで口を湿らすだけにする。
朝は牛乳だけが飲めた。
前回と同じく、歩行器でお便所へ行く練習をする。2度目なので大丈夫。でも、2ヶ月前に手術をした右の足には全面的には頼れないと思い、ゆっくりゆっくりの行動。

7月2日: 1階のリハビリ室まで2本の杖で歩けた。
リハビリ室で、手術をした方の足の付け根が痛んで殆んど上らない。
使っていなかった筋肉がまだまだ強張っているようだ。
ゆっくり、ゆっくりと、リハビリの先生に手を添えて上げてもらう。

7月3日: 歩くのにもだいぶ楽になってきた。

7月8日: 朝のドクターの回診で、歩いてみなさいとのこと。
ドクターは、にこにことされ、よろしいですと云ってくださった。
今日はレントゲン、CT、エコー、血液検査をした。

7月9日: 血液検査では貧血があるとのことだが、CT、エコー、レントゲンは問題はないとのことで、気分は上々。

7月10日:退院。晴天、本当に嬉しい日。

手術に向かわれる厳しい表情とは違い、言葉には尽くせないぐらい思いやりのある、やさしいドクターに無事二度の手術をしていだだき、順調に回復し、長い飛行時間もさほど苦にならずカナダへ無事帰国出来たことは先生の高度なる手術によるものと感謝しております。また固くなった筋肉をほぐし、リハビリをたゆまず精勤に行う事により、依り良い回復の結果がでるよう、助言してくださった理学療法士の方、またお世話になった看護師の方々、私が外国から来ていることで、長期滞在となり、色々と相談にのっていただいたドクター石部クリニックの方々、忘れ得ない方々です。

事実、痛みと不自由さのため、私にとっては人生の黄昏も近く、日没が目の前に迫って来ているように感じていました。手術後は股関節の痛みも取れ、日々回復を確信出来るようになり、杖の無い生活が出来るようになったという事が、人生に取ってどんなに大切な事か、素晴らしい事かと思います。
私を再び蘇らせてくださった石部ドクター、そして皆様方々に心から御礼申し上げます。
また、主人の支えが無ければ日本まではとても行けなかっただろうと、幸せに思います。ありがとう。
今年の木々の紅葉がより鮮やかに見え、札幌の紅葉もさぞや美しかっただろうと想像しています。一年後の検診、再び札幌を訪れるのを楽しみにしております。

inserted by FC2 system